ロルフィングについて

「身体を全体で一つ」として考える

Rolfing®️(ロルフィング)は、身体をバラバラな部分の寄せ集めではなく全て繋がっている、ひとつの構造として捉えるボディワークです。

正式には、
Structural Integration(人体構造統合法)
と呼ばれています。

筋肉や骨といった要素だけではなくて、それらを包んで繋い、支えている筋膜(ファシア)の連続性に着目して、身体全体の関係性を整えていきます。


 ロルフィングの成り立ち

ロルフィングは、アメリカの生化学者
Ida Rolf(アイダ・ロルフ) によって体系化されました。

彼女は、既存の医療やボディワークにとどまらず、解剖学・物理学・ヨガ・オステオパシーなど多分野にわたる学びを統合しながら研究を重ねました。

その中でたどり着いたのが、

「身体は、重力の中で整うことで自然に機能する」

という考え方です。

「重力」の中で動くためには、地面に足をついて、上の方向に伸びる力(”上下方向に働く力”)が大切です。

この重力を基準とした中で筋膜に働きかけて、骨格の位置を適切なものにしようというロルフィングのプログラムは他にないものです。


 世界的な広がりと教育体系

ロルフィングは現在、コロラド州ボルダーにある
Rolf Institute of Structural Integration
(https://rolf.org/)
を中心に世界で行われています。
*日本ロルフィング協会(https://rolfing.or.jp/)
*EUhttps://rolfing.org/

アメリカ、ヨーロッパ、日本をはじめとする各国で、
共通の教育基準のもとに認定ロルファーが育成されています。

そのトレーニングは、

  1. 解剖学・運動学などの理論
  2. 身体を読み取るための観察力
  3. 触れる技術と統合的な判断力

を含む、長期間にわたる専門教育によって構成されています。
(ベーシックトレーニング 731時間:週4~5日の授業を20 ~22週 *3ユニットに分けて)

ロルフィングは、海外ではボディワークの一つとして日常的に扱われていますが、日本では医療的な視点から身体を見る文化が強く、Structural Integrationという考え方は、まだ馴染んでいません。
*写真はGoogleストリートビューより


 動き(ムーブメント)の視点

ロルフィングでは、構造(形)と機能(動き)は切り離せないものとして考えられてきました。
創始者のIdaは構造へのアプローチは完成しているが、「動き」についての具体的な方針は後世に任せたと聞いています。
フランスのウベア・ゴダールという先生を中心にヨーロッパ、そしてブラジルの先生を中心に発展してきました。
この”ムーブメント”という視点が構造を変化させるワークと融合して、よりアクティブな動きも引き出せるものになっています。

ロルフィングのドキュメンタリー動画
ウベア先生のインタビューがあります

 筋膜研究との関係

近年、「筋膜(ファシア)」は医学や運動科学の分野においても注目されています。

その研究の第一人者の一人であるロバート・シュライプ先生 や、『アナトミー・トレイン』の著者、トーマス・マイヤーズ 先生は、ロルフィングの影響を受け、実践してきた人物です。
(お二人ともロルファーであり、研究者です)

ロルフィングは、こうした研究が広く知られる以前から、身体の連続性と構造の関係に着目してきました。


 手法(進め方)としての特徴

ロルフィングは、Structural Integrationとして、身体の構造全体を再編成していくことを目的としています。

その代表的な構成として、
「10シリーズ」と呼ばれるプロセスがあり、

  • 表層から深層へ
  • 部分から全体へ
  • そして統合へ

という流れの中で進められます。

各回のセッションにテーマがあって、触れる場所も目的も違います。
それぞれのセッションがリレーのバトンのように繋がって、より良く身体が変化するようなプログラムになっています。


 簡略化されてこなかった背景

ロルフィングはピラティスやヨガのように広く一般化された方法とは、異なる道を進んでいます。

それは、シンプルに体系化されているものとは違い、一人ひとりの身体に応じて内容が大きく変化するため、同じ形で広く伝えることが難しいという特性があるためです。

また、習得には長い時間と深い理解が必要とされており、意図的に単純化されてこなかった背景もあります。

そのため、現在も専門的なトレーニングを受けた施術者によって、限られた形で受け継がれています。

近年「筋膜」という言葉が広く知られるようになりましたが、ロルフィングはその流れに大きく影響されることなく、長年培われてきた考え方と方法を守りながら、現在まで受け継がれています。


 最後に

ロルフィングは、症状だけを扱うものではありません。

症状に注目してしまうと、全体を見られなくなってしまいます。

どんな状態であっても、ロルフィングのテーマに合わせた順番で整えていった方が、遠回りに見えても実は誠実で、確実な方法だと思っています。

ロルフィングでは外から身体に働きかけているのですが、変化しているのは身体の内側にある繋がりやバランスです。
これが整うことで結果として変化が現れています。
これは肉体的な変化だけではなく、気持ちの変化も起こるかもしれません。

だから、「〇〇が良くなります」とはあまり言えません。
あまり言いたくありません。

姿勢や動きが良くなることはもちろんですが、受けて下さった方が、落ち着いたり、前向きになれたり、軽くなれたり、見た目ではない何かも変化する、何かのきっかけになるかもしれない。

そんな可能性のあるロルフィングを多くの方に受けて頂きたいと思っています。